そこでこれまでのツアーとの違いをふと感じる。これまでは自然の中の飯といえば、よっぽどのことがない限りおいしいと感じていた。ところが、このツアーに出て最初に飯について感じたのは
「炊飯器が恋しい」だった。
なんだか悲しくなった。
「もう歳なんだな、そうだな、もう21歳だもんな、永遠の17歳とか言ってらんないな。」、同時に引退の二文字もちらついた。
この日はとりあえず私の体を慣らしがてら、合宿集合地まで自走することにした。
内藤はさすがに1週間前に現地入りして、下見をしていただけあって体が切れていた。私は彼についていくだけでいっぱいいっぱい。おまけに今年の猛暑の影響で日中は福島じゃねぇだろっていう気温。
事実私はこの日足が攣ってかなり苦しんだ。足が攣るなんてツアーで経験したことがなかったので、正直自分の体が最後まで持つのか不安になった。
追い討ちをかけるように
内藤は嘘を連発。私を思いのままに翻弄する。
20キロある行程を3キロと偽ったのを筆頭に「もう登りはない」などと根拠のないことを自信ありげに言ったり横暴の限りを尽くす。
お昼過ぎに途中のホームセンターで、お玉と銀マット(←私が忘れた)を購入。
そこからさらに走り続け3時前にコンビニ到着。1時間立ち読みをする。ちなみに内藤が読んでいた漫画は名作
『キャプテン』。私はドラマが絶賛放送中の『医龍』。
4時過ぎに出発し1時間ほど走り目的の温泉に到着。休憩場で甲子園を見てさらにがっつり昼寝をしたせいで
ナイトラン決定。
そして目的の道の駅まで行く途中で事件は起きた。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あぁぁぁぁぁぁ」。
内藤の悲鳴が聞こえた。
びっくりして振り返ると内藤は後ろで止まっている。「パンクでもしたのかな」と思い近づいてみると、内藤の同ジャが後輪に巻き込まれてロックしていたのであった。幸い怪我はなかったが、少しドキッとした。
しかし内藤の同ジャの
右腕の袖がびりびりに破れていたのはかなり笑えた。
内藤を元気付けるためにスーパーで半額になった刺身とビールを購入し道の駅で飲んだ。
ここの道の駅は虫がとてもうっとおしかった。